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【試し読み】改訂版:見落としをしない! させない! 国語教材「形式チェック」徹底マニュアル

⚠️こちらのマニュアルは、紙媒体用です。
⚠️2018年時点で有効だったノウハウであり、現在どこまで通用するのかは把握できておりません。

★有料記事の一部を公開しております。ご購入の参考になさってください。
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私が教わった国語教材校正の全体的な手順は、以下のとおりです。
大抵の場合、形式チェックは2の校閲と連続して同一人物が行います。

  1. 本文と原本の照合
  2. 問題の解き直し・吟味(校閲
  3. 形式チェック
  4. 俯瞰・流し読みチェック

統一・符合していない箇所を徹底的に洗い出し、修正することが、形式チェックの目的です。
一般的には、編集者等が作成した専用のチェックリストを用いて行います。

形式チェックの精度は、校正者の力量よりむしろリスト作成の緻密さに大きく左右されるといっても過言ではありません。
チェック項目が欠けていると、その分ミスや不備の看過が多くなることは言わずもがなです。

また、個々の項目にはさらに“隠れた観点”なるものが存在し、多くの場合、取り立てて説明するほどもないが同時にチェックしておくべき(あるいは、チェックするほうが効率的な)観点が含まれています。
表記・レイアウトの細々とした揺れなどは、その一例といえるでしょう。

抜かりのない形式チェックを行うためには抜かりのないリストを作成することが大前提です。
チェック前に“欠けている項目”と“隠れている観点”を丁寧に拾い出しておく、チェック中も漏れている観点がないか目を配る、この手間が校正精度を格段に高めてくれます。

そこで、この記事では基本的な作業の説明に加え、“欠けている項目”と“隠れている観点”の補完に役立つ「頻発するミス・揺れのパターン」の実例を数多く挙げました。
「頻発するミス・揺れのパターン」は、言うなれば、受験対策本に書かれている「頻出問題」です。
効率的かつ適確に作業を進めるための虎の巻として、特に、校正初心者や独学・自己流で校正されている方、見落としの多さに首をかしげたり、首が飛びそうになったりしている編集者の方におすすめします。是非ご活用ください。

 

【お願い】この記事の再配布について
誠に恐れ入りますが、社内・社外のスタッフ等、複数人でご利用の場合は、
人数分の料金をお支払いくださいますようお願いいたします。
(二人目以降は、800円/人で結構です。)

  

前置きはこのくらいにして、本題に入りましょう。
以下は、このような内容になっています。

  1. 形式チェックリスト(主に「中学・高校生用の国語テスト」に対応)
  2. 形式チェックリストの使い方
  3. 校正の具体的な観点と方法(ワークブックにも対応)

 

形式チェックリスト

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リストの使い方
  1. リストの項目を1行ずつExcelなどに入力します。上記のリストをベースにする場合は、不要なものを削除し、不足している項目を補ってください。
  2. リストをプリントアウトします。
  3. 原則的に1項目ずつ最初から最後のページまで通してチェックを行い、終わったら□にチェックマークを書き入れます。(複数の項目を一度に片付けようとするのは厳禁。面倒でも1項目のみに徹することが肝要です。)
  4. 校正中、項目にない部分に不具合を発見したら、リストに観点を追加します。(クライアントにリストを返却する場合は、別紙に書き出します。)
  5. すべての項目についてチェックし終えたら、チェックマークが抜けているものがないかを確認し、あれば校正を行います。

リストを自作しない場合は3からスタートしますが、編集者から提供されるリストは不完全なものが多いので、不足している項目がないか、作業前・作業中に必ず確認しましょう。

形式チェックの具体的な観点と方法

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初心者の方への注意
この記事での説明や例は絶対のものではありません。実務の際は、必ず当該制作物の編集ルールに従うようにしてください。
また、このマニュアルにある観点は、本来は、多様なタイプの教材を何十何百とこなして身につけていくものです。
全てを覚えてから作業に臨もうとすると、あまりの観点の多さに、まず間違いなく挫折するでしょう。
ですから、まずは大まかな観点と要点をつかむだけでよいと思います。
そして、実務の際には、①当該教材用のリストをもとに形式チェックを行う ②拙マニュアルを用いて、作業にヌケがないか確認する ③不足している観点があればリストに書き加えてチェックする ④ヌケがなくなるまで②と③を繰り返す という方法で行うことをお勧めします。
時間に余裕のないときは致命的なミスを優先し、誰も気づかないような瑣末な不備には目をつぶってチェックしてください。

では、テストやワークをベースに、個々の作業および留意しておきたいミス・揺れのパターンを具体的に説明していきます。

以下、スクロールしていると、何の項目についての説明かわからなくなってくるため、チェックボックス前に目印のアルファベットを付記しました。
M…問題用紙 KK…解答・解説 MK…解答用紙・模範解答用紙

「解答」「解答用紙」「模範解答用紙」は別物ですので注意してください。
「解答」は模範解答のことで、多くは解説と同じ用紙に書かれています。
「解答用紙」は児童・生徒が解答を書き入れるための用紙です。
「模範解答用紙」は、解答用紙の解答部分に模範解答が赤色などで刷られているものをいいます。ワークなど書き込み式の教材については、問題冊子・用紙内に「解答用紙」と「模範解答」が含まれますが、校正の基本要領は同じです。

各チェック項目の下に、あわせて確認しておきたい点を「*」を付けて示しています。慣れるまでは、この観点もリストに含めておくとよいでしょう。

問題用紙

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M□ 大問・小問・枝問・選択記号・注の連番は正しいか。

*□ 段落番号の連番は正しいか。
*□ ボールド(ゴシック)に過不足はないか。
*□ 頭位置はズレていないか。
まず、大問番号のみを最初から最終ページまで通してチェック、最初のページに戻って小問番号のみ最終ページまで、また最初のページ戻って枝問のみ……という具合に、大カテゴリ→中カテゴリ→小カテゴリの順に見ていきます。
注も番号が振られている場合は、チェックしてください。
論説・説明文では、段落番号が振られていることがありますので、一部ヌケたりしていないか確認しましょう。 f:id:mamadeok:20181210184558g:plain

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M□ 設問文の文体・表記は統一されているか。
*□強調部分に過不足はないか。
*□強調部分の体裁は統一されているか。

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以下はとりわけ揺れやすい文言の例です。覚えておくと役に立つでしょう。

揺れのパターン

  • 本文直前の設問文 読み/読んで
  • 選択式 次から/次の中から/次のなかから/次のうちから/次のア~エの中から/次のア~エのなかから/次のア~エのうちから(※文言とトジヒラキは必ず統一。ただし、元々紙面に余裕のない製品では、入れるとあふれるという理由で、変則的に選択記号「ア~エ」が省略されることもある)
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  • 答えなさい/答えよ/書きなさい/書け(※文末の敬体・常体の揺れは頻発するので注意)
  • 抜き出しなさい/抜き出して答えなさい/書き抜きなさい/書き抜いて答えなさい(※抜き/ぬき の揺れも頻発)
  • 次の空欄a・bに入る/次の空欄 a  b に入る/次の空欄 a   b に入る(※通常はナカグロあり)
  • ~はなぜか/なぜ~か

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以下は頻発するミスの具体例です。設問のほうが誤っているため、スルーしやすいので要注意。前者は、「」を「」に、後者は「次から」を「あとから」に修正しなければなりません。

ミスのパターン

空欄Aにあてはまるものを次のの中から選びなさい。
 ○○○   ○○○   ○○○
 ○○○   ○○○

ミスのパターン

〔 〕にあてはまる感動詞を次から選んで、記号で答えなさい。
① 〔  〕、これはあなたのものですか。
② 〔  〕、私のものではありません。
 ア いいえ   もしもし


以下も見落としやすいミスです。本来は解き直しで見つけるべきミスですが、見落としやすいので、形式チェック時に今一度確認しておきましょう。
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解答・解説

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解説
スペースの都合などで、一部の問いの解説が省略されていることがあります。例えば全8問のうち、問一の解説は省略され、問二~八の解説に、誤って問一~七と番号が付されているような場合、連番をカウントするだけではミスに気づかないので、必ず設問(または解答)と照合するよう留意してください。

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解答用紙・模範解答用紙


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