ママでOK?

ママでOK?

国語教材制作(主に校正)の現役プロ・プロを目指す人のための仕事ナビ。実務の作法から求人まで惜しみなく情報提供しています。

「小・中学校教材の教科書別配当漢字」の校正を高速で終わらせる方法

国語教材校正の、特に小学校のそれには、漢字の教科書別・教科書初出ページ別配当を調べる作業が多くつきまといます。
資料を手に、1字ずつ「未習/既習」を確認するのは、本当に骨が折れるもの。
しかも苦労の割には見落としが出やすいため、 何校重ねても不安が残ります。
学参校正のワースト3に入る鬱陶しいタスクといえるかもしれません。

■ 知りたいのは学年配当じゃない。教科書配当なんだ!
漢字の学習学年を調べる際は、ふりがな(学年別配当漢字使い分け)を使われている方が多いと思います。
が、ご存じのとおり、教科書別・教科書初出ページ別の漢字についてはチェックできません。

学年配当なら全暗記も可能ですが、こちらはさすがに無理。
Excelに読み・書き・教科書・掲載ページのデータベースを作って・・・という方法もありますが、膨大な時間と労力が必要ですし、検索はやはり1字ずつ。あまり現実的ではありません。

そこで使わせていただくのがこちら!


文字データさえあれば、あれよあれよという間に、教科書別・教科書初出ページ別の配当がチェックできます
「複数の読みをもち、それぞれの初出ページが異なる」という校正者泣かせの漢字も、まとめて掲載ページと共に表示されるので、それはそれは楽。もう夢のように楽。
1回の検索文字数の上限はたぶんなし。
有料ですが、金額以上の価値があると思います。
(※元がとれる程の仕事がない場合は、もちろん非推奨。そういうときは、クライアントに使わせるという手も。)

 利用方法 
◆この記事をアップした当初はいつでも申し込みができましたが、現在は定員制に変更され、空きがあるときのみ登録可となっています。
まず「お問い合わせ」のページから申し込み、その後口座に費用を振り込みます。
IDとパスワードのお知らせメールが届いたら、それを「校正支援」のページで入力。
画面上に必要なテキストを入力すると、最大で、小学版なら「色分け(言葉の森に似ています)+学年+ページ+読み」、中学版なら「色分け+学年+ページ+小学未習読み」の体裁で表示可能。
動作も非常に軽く快適に使えます。

≪Wordと組み合わせてさらに快適に≫
小学校低学年(暖色表示の学年)の漢字を大量にチェックするときは、目が辛くなるかもしれません。
量が多いと、見落としのリスクも高くなって大変です。
そこで一工夫。
たとえば、「小2の教科書・上巻P.29~56」の準拠教材において、未習の読み書きをもつ漢字のみをチェックしたいときは・・・

  1. 「小2の教科書・上巻P.29~56」に該当するテキストデータをまず「校正支援」にかけ、表示されたものをWordに全部コピペします。
  2. 検索窓を表示させ(Ctrl+F)、「強調表示」にチェックを入れます。
  3. 「小2:」と入力して検索し、強調表示の右側に注目して、「上p.56」を超えていないことを確認します。(下巻の場合は、「小2:下p.」と入力すれば、上巻がスルーできて効率的です。)

必要なものだけを強調することで、見落とし率はかなり下がると思います。
ワイルドカードなどを使って、ページまで絞り込むことはできないものでしょうか。)

■ で、もう1回ふるいにかけて万全を期す!
というわけでかなり便利な校正支援ですが、少々難点もあります。
中学以上で学習する漢字の色がグレーで、視認性がよくないのです。
加えて、(こちらはツールのせいではありませんが)小学版では教科書ページに注意が向くため、学年単位での未習漢字を取りこぼしがち。これは危険です。
こちらの見落としのほうが罪としては大きいので、 くれぐれも注意しなければなりません。

そこで使わせていただくのがこちら!


文字と背景色を任意の色に設定できる親切仕様。
つまり、小学校の当該学年で習っていないものだけを強調表示できます
(設定した色はURLで保存することも可能です。)

教科書・教科書ページごとのチェックが終わった後、こちらでフィルタリングすれば精度も安心感も高まります。
たとえば5年の教材なら、「白背景に、5年以下(=既習)は黒字/6年・常用・人名用・それ以外(=未習)は赤字」などで表示させれば、未習漢字が一目瞭然。
中学校教材なら、非常用漢字(=未習)のチェック用として使えます。
こちらのツールも文字数の上限はなさそうです。

色のカスタマイズや常用/非常用で分ける必要がないなら、こちらもシンプルで使いやすいと思います。


改造が許可されているので、工夫次第では別の用途にも使えそうです。

 注意!
ここでご紹介したツールでは、「熟語の熟字訓」の未習/既習を調べられません。
完璧にチェックできるわけではないのでご注意を。


ほかにもっと優れたツールやソフト、方法をご存じの方がいらっしゃいましたら、是非ご教示ください。

論文の添削例に学ぶ赤字の入れ方

小論文の添削例です。

添削見本【報告・論説編】 - Z会 (PDF)


添削例を見たあとで自分なりに校正してみたら、添削と校正の違いが如実に体感できて勉強になりました。

リンク先が一般的な添削例かどうかわかりませんが、ここでは、全体の構成と文の係り受けをメインにチェックし、それ以外の細かい部分は大目に見ているように感じられます。

一方でこれを読み物として校正するとしたら、構成よりも、誤字や脱字、単語の選択、読みやすさなどに重きが置かれるのではないでしょうか。
いきおい添削例にあるような構文への提案、内容の重複は見落としがちになる気がします。(注意不足ではなく国語力不足のせいで、そもそもアンテナに引っかかっていないという場合もありますが。)

それにつけても、人様の入れた赤字はやはり偉大な先生だと感じます。
単純に数だけをこなしていたのでは永遠に気づきそうにない観点を瞬時に教えてくれますし、ときには反面教師としても役立つものです。
これほど優れた教材はほかにはないでしょう。

ところで、上記論文の第2段落の最終文「科学的に証明できないことが、科学的に証明されていないから、血液型による性格分類が間違っているとは言えないなどと述べることについては、問題外である」に赤字が入っていないのですが、ママでOKなのでしょうか?
何度読んでも理解ができず、悶々とすること5分。
「“科学的に検証不可能なものが検証されていない以上、誤りであるとも言えない”という理屈を盾に批判を正当化したりするのは、問題外である」という解釈にようやくたどり着いたのですが、果たしてこれで正しいのか否か。う~ん。賢い方教えてください。

小学校で習う熟字訓・特別な読み一覧

この熟字訓は何年生で習う?  f:id:mamadeok:20160824160243g:plain 年生で習う熟字訓は何?
熟字訓・特別な読みの配当学年は教科書会社によって異なり、統一されておりません。
(配当を知りたい場合は、各教科書・クライアントから提供された資料等でご確認ください。)

個々の漢字の配当学年ならすぐに調べられます ▼
この漢字何年生で習う? 教育(小学)漢字の配当を一発で学年別に色分けしてくれる無料サイト


以下、2015年現在(古い情報です!)、小学校で学習する熟字訓・特別な読み(常用漢字表の付表の語)のすべて。(※中学校版はこちら→中学校で習う熟字訓・特別な読み一覧

明日(あす)
大人(おとな)
母さん(かあさん)
河原(かわら)
川原(かわら)
昨日(きのう)
今日(きょう)
果物(くだもの)
今朝(けさ)
景色(けしき)
今年(ことし)
清水(しみず)
上手(じょうず)
七夕(たなばた)
一日(ついたち)
手伝う(てつだう)
父さん(とうさん)
時計(とけい)
友達(ともだち)
兄さん(にいさん)
姉さん(ねえさん)
博士(はかせ)
二十日(はつか)
一人(ひとり)
二人(ふたり)
二日(ふつか)
下手(へた)
部屋(へや)
迷子(まいご)
真面目(まじめ)
真っ赤(まっか)
真っ青(まっさお)
眼鏡(めがね)
八百屋(やおや)

これが、国語教材(教科書準拠物)を校正するうえでかなり曲者。
例えば、「部屋」。
「部」「屋」ともに3年生で習う漢字なので、4年生の教材にルビなしで記載されていても違和感なくスルーしてしまうおそれがあります。
が! 「部屋」は、三省堂に限り、4年で学習。しかも下巻です。
つまり、三省堂準拠の4年生1学期の教材に「部屋」という熟字訓があった場合は、ルビを振らねばならないということ。

そのほか、特別な読みの漢字であることをつい失念してしまう「母さん」「父さん」「手伝う」「兄さん」「姉さん」なども要注意です。

【関連記事]
意外と表内訓だったりする日付けの読み