俗字・略字・新字体の対になる漢字です。
外字と呼ぶこともあります。
正字の知識は、中学以上の国語教材校正者にとってはなくてはならないものです。
といっても、教材に使用される漢字はおよそ決まっているので、ある程度は自然に覚えられるでしょう。
慣れれば素読みでも見つけられるようになります。
《参考サイト》
個別「表外_置換画像_リュウミンPr5」の写真、画像、動画 - works014's fotolife
(ほかにも正字はありますが、国語教材でよく見られるものが集まっていますので、プリントアウトするなどして、手元に置いておくとよいでしょう。)
なお、正字が存在する漢字でもあえて俗字で表記することもあるため、慣れないと判断が難しいことが多いかもしれません。
編集者から具体的な指示がない場合は、鉛筆で疑問出ししておけばOKです。
以下、教材中で正字表記されることが多い漢字を列記しました。
※ブラウザ上では俗字で表示されているものが混じっていますので、必ず国語辞典で確認してください。
※( )内はあくまで個人的な印象です。
迂 謎 逢 遡 遜 辻 蓮 這 辿 槌(二点しんにょうは、ほぼ100%正字)
嘘(読解問題の記述で使用するとき以外は、間違いなく正字)
痩(以前は正字にすることがほとんど。新常用漢字として中学で学習するようになったが、俗字で教えるため、準拠ものでは正字にしない)
訊 蔑 杓 灼(俗字にする場合もあり)
箸 堵(ほとんどの場合正字)啄(100%正字)
嘲(100%正字)揃 煎(初めから正字で組まれていること多し)
頬(ほとんどの場合正字)
柊(ほとんどの場合正字)
剥(多くの場合正字)
鞘 蔽 梢 采 噌 噂 溢 倦(ほとんどの場合正字)
鞄(ほとんどの場合正字)
蝉 箪(ほとんどの場合正字)
鰯(ほとんどの場合正字)
餌 飴 櫛 餅(ほとんどの場合正字)
葛(ほとんどの場合正字)
嚙(俗字の場合もそこそこあり)
薩(ほとんどの場合正字)諺(しばしば正字)
叛 蔽 倦(ほとんどの場合正字)
簾 靱(見分けにくいので注意)
牙 穿(俗字とする場合多し)
主に古典で使用
撰(ほとんどの場合正字)
祇 卿(ほとんどの場合正字)
芦 騙(現代文では俗字、漢文では正字とすること多し)
襖 徽(知っておくとプロっぽい)
よく目にするのもののうち、思いつく漢字のみを挙げてみました。
似たような形のものを見たとき、正字の知識がなくてもあたりつけられるよう、セットで覚えておくとよいでしょう。
覚えていないものに関しては、その都度国語辞典で確認してください。
二点しんにょうの漢字「迦」などはほぼ例外なく正字にします。
そのほか、嘘、葛、簾、 箸、鰯、撰、灼、祇、訊、卿なども、ほぼ確実に正字で表記しますが、教材によっては正字を避けるものもあります。
「嘘」は扱いが特別です。
右下の部分がちょっと書きにくいせいなのかどうかわかりませんが、抜き出し問題に使われる場合は、あえて俗字で表記することがほとんどです。
抜き出し問題に含まれているのに正字になっているときは、指摘しておいたほうがよいでしょう。