次は、短歌のテストを想定して作成した問題と解答です。
原典照合とルビチェックは終えているものとして、素読み校正を行ってください。
[解答]
問一 白・青
問二 銀杏
問三 二(区切れ)
以下の校正例をご覧ください。
今回は、特にワークでよく見られるミスを盛り込みました。
問一(校正例3~5)に関しては、「文末が敬体になっている」「抜き出し形式のほうが適当」「別解が生じる」の3点に気づけていればOKです。
<校正例>
1.大問の問題文「A~C」の「~」をナミにする。
「~」はボールドにしないのが一般的。本文と設問文に気を取られ、とかく冒頭の設問文はチェックが甘くなりがちなので要注意。
2.Cの作者名「柊」を正字にする?
普通は正字で表記する。教科書準拠物以外は編集方針に従う。
3.問一の「書きなさい」を「書け」に修正。
ワークでよく見られる齟齬。設問文の末尾は常体または敬体のいずれかで統一する。
(ただし、2文に分かれているときは、意図的に前文を常体、後文を敬体としていることもよくあるので注意。)
4.問一は抜き出しの形にカエ?→カエるなら「書きなさい」は「書き抜け」に修正。
原則的に引用で解答できるものは抜き出しの形式にするが、詩歌内に直接詠まれている色は抜き出しにしないこともあるため、疑問出しの形に。
5.問一の設問文と解答が対応するよう修正する。
設問文をママとするなら、模範解答を「白・青(あを)」にすることも考えられるが、自由記述なので、歴史的仮名遣いの「あを」を別解として併記するのは違和感がある。とはいえ、「あを」でも内容的には正しい。
これを丸く収めるには、模範解答をママにして、設問文の「書きなさい」を「それぞれ漢字一字で書き抜け」などにカエればよい。3~5の校正指示は、これに集約される。
6.問一~三の「句切れ」以外の「句」を「歌」または「短歌」に修正。
短歌の問いは俳句の直後で出題されることが多く、また、この例題のように、たいていは「句切れ」という単語が付随するため、「句」になっていても違和感を覚えにくい。スルーしないよう注意。
7.問一の解答のあとに「順不同」と入れる。
実務では形式チェックリストに「順不同・完答の表示が漏れていないか?」の項目を必ず加え、解き直し後に解説全体通してしっかり確認する。(なお、稀にあえて「順不同」を表記しない教材もある。)
8.問三の解答の「区切れ」を「句切れ」に修正。
解説で頻繁に見られる間違い。ただし、「二つにくぎれる」など動詞のときは「区切れる」になるため、闇雲に「句切れ」に修正しないよう注意が必要。(例:「来たりけり」のあとで意味が区切れるので、二句切れである。)
9.問二の2・3行目の頭位置を半角下げる?
通常、設問文の成り行き改行は2ワード文下げる。(何にせよ頭位置を半角分ずらすことはまずない。)ここでは続く説明文と頭位置が揃っているので見落としやすい。解き直し→形式チェック→レイアウトの順で視点を変えながら校正すると多様なミスに対応できる。
問一の“採用するほうによって修正の仕方が変わるタイプ”の不備は、現場で多々見られます。
どちらを採択するかを校正では決定できないため、いきおい指摘の内容が多くなる(伝えたいことはシンプルなのに手間がかかる)という嫌なパターン。実務では、限られたスペースに簡潔な表現で書き込むスキルも必要となります。
校正例に漏れがありましたら、是非お知らせください。 (何か見落としている気がして仕方ありません。)