ママでOK?

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学参校正者が手を伸べるべき場所

3年前のレジュメですが、学参界の動向をうかがうことができます。
学参校正者にとって、編集者の仕事を知っておくことは、非常に重要です。
編集の仕事に触れたことのない在宅校正者は、特に目を通しておかれるとよいのではないでしょうか。

「編集プロダクションとの上手な付き合い方 /教科書・教材編集者に期待するもの」 レジュメ


校正者の仕事は「重箱の隅をつつくこと」などと言われたりします。
学参編集者の仕事を同じく重箱を用いてたとえるなら、重箱のサイズ・意匠、食材、調理法、メニュー、食品の量・レイアウト・味・鮮度などなど、買い手がそれを目にしたとき、食したときに好ましい、不都合がないと感じられるものに仕立てること、といったところでしょうか。

そういう重箱を外装や中身を変えて同時に複数作成したり、その間で電話応対などしたりしているのですから、かなり処理能力のある人でも、どこかしら見落としをしてしまうものです。

学参校正に求められているのは、そうした目こぼれの補完だと言ってもいいでしょう。 

ならば、その目こぼれの生じやすい部分を知っておくほうが望ましいということになります。
地方で在宅校正をされている方の多くには難しいかもしれませんが、編集の実務を知らないままに校正を行っても、痒いところに手の届かないことが多いのです。
編集者は、痒い場所を掻いてくれ、必要ならば薬を塗ってくれる校正者を歓迎します。

編集者自身も校正を行いますが、彼らが行う校正(正確に言うと、編集の一環として行う校正)と校正者が行うそれは、同じではありません。
大幅なリライトに伴う修正に追われ、本来的な校正に気も手も回らないことが多いため、校正者が思い至らない、指摘できない、決定できないと思われる部分に注力しがちです。
だから、編集者の行った校正はまず間違いなく粗い。
しかも、それが習慣化してしまっているがゆえに、たまに腰を据えて校正しても、いつもの調子で見てしまい、基本的な誤りを見落としてしまうという悲劇もついてまわります。

こうした現場体験をもたず、それを全く推し量ろうとすることもないままに、校正を続けるとどうなるでしょうか。
校正も編集と同じく、大切なのはとにかく場数を踏むこと。これは疑いようもない真実です。
しかし、それがただの足踏みになっていないか。これについては、大いに疑ってみなければなりません。