ママでOK?

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パクったらノーギャラ&罰金。パクりの発見者には罰金(懸賞金)進呈ってことにしたら、みんな気合入らんだろうか。

この本については不明だが、ライターが独断で剽窃した文章を編集者がオリジナルと思い込んで、うっかりそのまま市場に出してしまう事故は実際にある。

ゴマブックスに僕の原稿が丸々パクられました。
 (※現在は削除されている模様)

剽窃の確認は、編集者や校正者が、とりわけ目を光らせなければならない部分の一つだろう。
むろん教材も例外ではない。残念ながら盗用は少なからず存在する。

例を挙げよう。
言葉の意味説明が特定の辞書とほぼママなどは日常茶飯事、解釈の難しい詩歌の解説も盗用が多いし、酷いところでは、参考資料である旧版のワークの問題を全転記、古文ワーク内の現代語訳をネットから複数ページほぼ丸写し、教育委員会作成による文章の一部が事典ママということもあった。

こうした剽窃が後を絶たない最たる原因は、言うまでもなくライターたちの著作権意識の低さにある。
また、そうしたライターが存在することを知りながら、著作権を侵害しないよう事前にアナウンスしておかない編集者の怠慢も否定できない。本を正せば、業界の弊習によるところも大きいだろう。

たとえばイラストのコンペなどでは、応募要領に「著作権を侵害するものは不可」と明示していることが多く、自分の作品が完全なオリジナルであることの証明として、割り印を押した誓約書の提出を要求する企業さえある。
それは著作権違反の抑止につながるだけではない。万一、著作権トラブルが起こった場合、依頼側の責任を回避するという保身の意味においても、あってしかるべきものだ。

だが果たして、学参の執筆で、そうした著作権侵害の牽制を行っているところはあるのだろうか。
その原稿が重大な瑕疵を抱えていようとも、原則的にフィードバック・リテイクなし、下手すればクレームさえなし、かつ低からぬ報酬を減額もせず支払うという体質を改めない限り、これからもパクり原稿はしれっと生産され続けるような気がする。

二束三文の手内職ですら、不備があればやり直しをさせられるというのに、なんと甘いことか。そのつけを払うのは、後工程の人間――つまり、依頼人である編集者自身――にほからないのだ。「この尻拭いが編集の仕事だ」などと嘯く、その奴隷的スタンスこそが、我が身を無闇にせわしなくさせ、過度のストレスと疲労の泥沼へ引きずりこんでいる元凶だということに早く気づいてほしい。

さて、そういう編集のさらに川下いる校正者は、彼らのマゾヒスティックな趣味に付き合わされる羽目になる。
お前らも尻を拭けというわけだ。うれしくない作業だがやるしかない。

パクりを看破するには、勘とコツが必要である。人によっては、見えない世界からの囁きが導いてくれることもあるだろう。
自分が人に説明できるのはコツの部分しかないが、あまり具体的に書いてしまうと、ずるいライターに悪用されないとも限らないので、初歩的なところだけを奥歯に物をはさみながら述べておくことにする。

1.リズムに注目
文章のリズムが何から生じているかを考え、そこに着目していけば見破りやすい。
パクり部分は、往々にして他とリズムが違う。

2.表記・レイアウトに注目
学参物の場合は一定の決まりがあるため、特にわかりやすい。
異質な表記が出てきたら、とりあえず疑ってかかるようにする。
レイアウトが不自然なのは、ネットからコピペしたせいかもしれない。

3.表現力に注目
書き手が同一人物である以上、その表現力も同一のはずである。
突然巧みになったり、拙くなったりしているのは怪しい。
ただし、力のない編集者が部分的にリライトしても起こりうる現象ではある。

4.ファクトに注目
一般的な書籍校正では、事実確認が欠かせないようだが、学参物は教科書が規範になっているため、教科書以外のものと照合するという場面があまりない。したがって、学校で習わない事柄に関しては、読み流されてしまっていることが多い。
教科書で触れられていない内容が出てきたら要注意。ファクトチェックが必要な部分にも剽窃はしばしば潜んでいる。


アナログの資料と照らしてパクりを炙り出すのはかなり難しいが、ネットの情報ならば、検索である程度対応できる。「怪しい」と思える部分を中心に、前後を含めて20字程度を抜き出して検索してみると、丸々引っかかることも珍しくない。
パクりやすい箇所が存在する教材が相手なら、その部分にフォーカスして調査するのも有効だ。

何はともあれ、「違和感」は「剽窃」を発見する重要なきっかけになることが多いから、「何か変だぞ」と感じたなら、すぐに調べる癖をつけておくといい。

自分は使ったことはないが、こういうツールを利用するのも一手だろう。
剽窃チェッカー
記事・文章コピペ検出チェックツール「コピペリン」
コピペチェックツール『影武者』