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学参の校正における赤字について、わりと熱心に考察してみた

校正の仕事について説明してある文章を読むにつけ、別の職種の話ではないかと思うほど、学参のそれとはスタンスが異なっていて驚かされる。

もし、これから学参の校正を始めようとしている人がいるのなら、くれぐれも留意されたい。一般の校正術は参考にならないことが多く、鵜呑みにしてしまうと、ぼんくら扱いされかねないということを。

 危険な赤字の入れ方を避ける


こんな赤字の入れ方はおすすめできない。
実例校正教室
赤字はもとより、原則的に引き出し線は隣の行をまたぐべきではない。
組版の際、誤った行に赤字が反映されるおそれがあるし、視線を余分に動かさねばらないのは、赤字をチェックする全ての人に、余計な負担を強いることになる。
赤字を入れる当の校正者にとっても面倒なだけで、赤ペンのインクがいたずらに減るばかり。今風にいえば、誰得というやつだ。

 ミスを減らし作業を楽にするために配慮する


これだけ行間が開いているなら、誤字のすぐ右に書いたとしても、決して見づらくはならない。(「三つ」なら、「二つ」と「過程」の行間に書けばよい。)
組版オペレーターにとっても、戻し校の赤字照合(旧校に入れた赤字が、新校に正しく反映されていることを確認する作業)を行う編集者や校正者にとっても、瞬時に間違いなく拾えるため、安全性が高く、労力も最小限ですむ。
赤字は、近くに書くとかえって見づらくなる場合を除き、修正箇所のできるだけそばに入れるほうがよいのだ。

殊に学参の原稿整理から初校にかけては、周囲に見せびらかしたくなるほど、べらぼうな量の赤字を入れることが多い。
上記のように紙面を贅沢に使った校正をしてしまうと、どの赤字の修正元がどこにあるのか本当にわからなくなってしまう。

 後工程に無駄な負荷をかけないようにする


また、上記の赤字の入れ方には別の難点もある。
赤字を照合するつもりで頭から見てみよう。
文脈に従えば、赤字は「を」「と」「三つ」の順だが、目に入ってくる順番は「を」「三つ」「と」である。
これもまたミスの元だ。
長文の赤字がぎっしりと入るときは難しいこともあるが、この程度の量なら十分配慮できるはず。
文脈順に目につくように赤字を入れると、組版修正や赤字照合の際、ロスがなく、混乱も生じにくくなるだろう。

 赤字照合の見落としゼロを目指す


とはいえ、どんなにわかりやすく書いている赤字でも、やはり見落とすときがある。
赤字照合をしていると、自分がうっかり拾い損ねた部分と同じ箇所を組版でもスルーしていることがよくあり、興味深くもひやりとさせられる。
赤字を追っているうちに死角になってしまうところが、ぽーんと抜けてしまいやすいようだ。
ど素人でも見逃さないような見やすい場所へ、はっきり書いてあるのに不思議である。

組版で落とし、赤字照合でも落とし……では、会社が傾いてしまいかねないので、自分の場合、赤字照合は最低2度行うようにしている。
まずは、鉛筆か蛍光ペンで赤字のすぐそばにチェック印を入れる。これが1回め。
2回めは、赤字部分とチェック印がセットになっているかどうかを確認する。
なっていないときは、たいてい未チェックなので照合。
あまりにも赤字の分量が多い、または煩雑であるときは、3回チェックして終了としているが、自分の場合は、2回やればまず100%拾える。

 校正力をめきめき向上させる


外部校正者のなかには、赤字照合は無縁という方もいらっしゃるだろうが、他人の書き入れた指摘を見るに勝る校正のスキルアップ術はないというのが管理人の持論である。

「この人の修正案は、長文でも読みやすいな」
「なるほど、こういう部分までチェックするのか」
「うわっ、こんな細かいズレまで拾っている」
「この漢字の読みが表外だったとは」
などといった、思わず声に出したくなるようなさまざまな感心と驚き、知識を与えてくれることが少なくない。
なにより、自分にはない観点を目の当たりにできることは、最大のメリットだ。

校正能力の優劣に関わらず、誰しも目の付けどころには偏りがある。
他人の校正跡を見る作業は、そうした自分の視野を広げられるチャンスに満ちているといっていい。
それはまた、この仕事のおもしろさの一つでもある。