ママでOK?

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へえ~、そうなんだあ~……

あるところに、だれに対しても平等にタメ口で話すローラという少女がいました。
ローラは歌手です。
黄色い衣装を身にまとい、大勢のお客さんの前で、「かわいいかわいい、女の子。それは、だあれ? それはローラ。いちばんかわいい女の子」と歌います。
ときどき音を外すこともありましたが、ローラは人気者でした。
なぜって、その町には、ローラのような若い歌手はほかにいなかったからです。
そのせいでローラは、自分がすることは何でも成功すると勘違いするようになってしまいました。

ある日のことです。
「そうだ!」ローラの頭に、一つの考えがひらめきました。
「歌うのもいいけど……うふふっ」
もっと人気者になって、もっとお金がもうかりそうなアイディアです。
ローラはさっそく大人たちを呼びつけると、自分のすてきな思いつきに笑いをこぼしながら、こう伝えました。
「わたし、今度本を書くから、出版して! ふふっ」
ベストセラー間違いなしだよ、とほっぺたの上でOKの印を作り、「タイトルも、もうちゃんと考えてあるよ」と言いました。
突拍子もない話に驚いている大人たちの姿は、ローラの目には入っていないようです。
人差し指をあごにあてて、宙を見上げるようなしぐさをすると、さも楽しそうに続けました。
「えっとね~、タイトルは、『これでオッケー☆ ローラがしっかり教えちゃう♪ 敬語の正しい使い方』だよ。ふふふっ」


※実際にあったことをぶつ切りにして、蒸して炒めて、甘酢あんをかけて、ファンタジーの皿に盛り付けたフィクションです。
※あのローラさんには、もちろん何の関係もありません。
※あのローラさんが嫌いなわけでもありません。